よく挙げられる疑問点

私たちは、共通の理解の土台を築きたいと考えています。

様々な企業と話す中で、全従業員オーナーシッププログラムに関して似たような疑問点や懸念点がよく寄せられます。それらの質問に対し、共通の理解と認識を持つことができるよう、よくある疑問点や懸念点に対する回答を以下にまとめました。

1「従業員は持分の意味や価値を理解できないのでは?」

私たちのこれまでの経験では、従業員が持分を理解し価値を見出すかどうかは、その企業のリーダーシップに大きく左右されます。オーナーシッププログラムを効果的に実装するためには、教育、トレーニング、コミュニケーション、そして何よりも時間と努力が必要です。企業の経営陣が真剣に本プログラムに取り組めば、従業員のエンゲージメントを最大限に引き出すことにつながります。

2「従業員は持分よりも現金を望むのでは?」

オーナーシッププログラムは、給与やその他の福利厚生の代替手段ではありません。むしろ適正な給与と福利厚生に上乗せして、従業員の経済的安定性と成長意欲の向上につながるような持分取得と資産形成の機会として本プログラムを位置づけています。

低賃金労働者にとっては、給与だけで資産を築くことは困難です。持分所有によって、従業員は企業の成長に参加する機会を獲得し(収益成長の乗数的効果)、まさに資産形成が可能となります。また、税制上の優遇措置のもとで時間をかけて持分価値が複利で増えることで、貯蓄や退職後の資産形成にもつながります。

企業の視点から見ると、持分保有は従業員の利益と企業の利害を一致させ、従業員に経営への関心を持たせることで離職率を下げ、企業の財務成果に応じた変動コストとして機能するという利点があります。

3「多くの従業員は株価を動かせないのだから、持分を与えるべきではないのでは?」

私たちは、ビジネスとはチームスポーツだと考えています。どんな企業も、チーム全員の力なしに成功はできません。従業員全員が企業の成功に貢献するのであり、その全員が生み出された企業価値を還元する権利を有しています。ビジネスはチームスポーツ―同じ船に乗る全員が推進力となります。

4「オーナーシッププログラム実施中に、景気が悪化したり企業の業績が落ち込んだらどうなるのか?

年収が一定の水準を下回る場合、従業員が自己負担で株式を購入しないようにすることが重要だと私たちは考えています。つまり多くの従業員にとって、子の持分は無償の福利厚生となります。これにより、投資に回せる余裕資金のない人にとってのリスクを最小限に抑えることができます。また、持分は賃金引き下げや福利厚生の削減と引き換えに与えるようなものではありません。

一方で、従業員が将来の成果に大きく期待をしているのに、それが一時的にでも実現しなければ、従業員の士気に悪影響を及ぼすのではという懸念もあります。このリスクは、経営陣にとっても同様です。これに対応するためには、従業員全体が主体的に経営に関わり、厳しい経済状況に対応した革新的な取り組みや業績改善を目指せるオーナーシップ文化を築くことが効果的だと考えています。

5全従業員オーナーシッププログラムを導入・運用するのには検討事項もあり、一筋縄ではいかない。

株式を一部の人に分配するのみで、現状維持し続ける方が簡単なのは確かです。しかし私たちは、オーナーシッププログラムがより容易に導入・運用・周知できるよう、さまざまな設計手法やツール、外部パートナーとの協力体制を構築してきました。グローバルにおいて、本プログラムをスムーズに導入を進めてきた実績を積み重ねてきました。